太政官日誌・明治2年90号

太政官日誌 明治二年 第九十号
明治己巳 八月十五日
東京城第五十三
○八月十五日〈甲寅〉
【箱館征討合記続二】
館藩届書写第三〈追録〉
戦争中死傷左之通
四月十一日夜、於札前野
死 八番隊銃卒 溝口寛蔵
同 田村粂太郎
重傷 同隊銃士 清水金吾
同隊銃卒 秋山織次郎
傷 同 石道宇之作
死 遊撃隊銃士 杉村玄英
同 平野安五郎
同銃卒 遠藤駒蔵
同 山岡喜八郎
同 鈴木兵三郎
重傷 同銃士 武川市逸
傷 同隊長 新井田早苗
同半隊司令士 野坂林作
同銃士 梶原弥学
同銃卒 川崎松五郎
総長下国東七郎家来 斎藤善太郎
同夜、於茂草野
死 八番隊軍監 村上温次郎
同銃卒 藤田璉蔵
同 鈴木順蔵
重傷 同銃士 田村和鬼也
傷 同銃卒 川村元蔵
死 遊撃隊銃士 小西浩太郎
同銃卒 田中量作
傷 同 戸沢孫右衛門
四月十七日、於建石野
死 遊撃隊銃卒 工藤元三郎
重傷 同副長 竹田泰三郎
傷 同銃卒 関根藤六
右之分、当五月廿三日御届申上候後、尚取調候処、銃卒山岡喜八郎、鈴木兵三郎手負ノ趣御届申上候得共、両人共戦死仕候、依之尚又死傷書上申候
昨年御届漏之分左之通
〈辰十月廿四日、戸切地於陣屋戦死〉 銃士 大場忠右衛門
〈辰十一月二日、於福島村戦死〉 同 田中宇吉
同上 同 大沢八五郎
同上 同 桜井金七郎
〈辰十一月五日、於及部村戦死〉 町兵 直吉
〈前同日、於枝ケ崎台場戦死〉 銃士 平尾鉄三
〈前同日、於城内重傷〉 同 山崎十三
〈十一月二日、於福島村重傷〉 農兵 金平
戦争中生虜、分取左之通
一番隊麓逸学隊ニテ
四月十日 賊四人
同十日 賊二人
同十一日 同一人
遊撃隊新井田早苗隊ニテ生捕
賊三人
原口村ニテ 同二人
木ノ子村ニテ 同一人
田沢村ニテ 同三人
小砂子村ニテ 同三人
馬形及部ニテ 同三人
田沢村砲台一ケ所
大砲一門
弾薬四箇
四月十八日奇兵隊蠣崎衛士隊吉岡峠ニテ分取
施条砲一門
大砲二門
弾薬二門
実丸三十
空丸十
四月十日江差出発ヨリ、同十三日上之国ヘ引揚迄之間、遊撃、奇兵、八番ノ三小隊、所々ニテ分取
ケール十六挺
刀四口
剣六振
喇叭一
合麾〈但、黄赤取交〉八本
朱之丸提灯三張
ガンドウ一
胴卵六
小胴卵五
四月十四日、遊撃隊、羽根差野ニテ生捕
賊一人
同十七日、奇兵隊ニテ生捕
賊〈内斥候二人〉三人
分取
大砲弾丸
同日、八番隊ニテ分取
雑兵笠六蓋
朱ノ丸提灯一張
巻物〈但、槍術伝書〉一
ガンドウ一
四月廿九日、五番隊竹内学隊ニテ分取
矢不来山手砲台一ケ所
大砲一門
弾薬二箇
胴卵三
短旋条銃五挺
スナイドルパトロン二百発
同日、六番隊松崎数矢隊ニテ分取
大砲空丸六発
合薬二箱
胴卵七
ミニユ銃七挺
サフル三十四振
ケエール剣十八振
ミニユー丸五百発
脇差二口
刀二口
馬二疋
弾薬三千発
鞍一脊
同日、八番隊氏家左門隊ニテ生捕
賊〈但、富川村ニ於テ〉三人
分取
六寸短銃四挺
短銃七挺
馬乗砲三挺
胴卵二
サフル十二挺
弾薬四箱
同日、奇兵隊蠣崎衛士隊ニテ分取
鉄砲三挺
刀一口
七連砲一挺
朱ノ丸旗一ケ所
矢不来居小屋一ケ所
旋条砲丸五
胴卵一
賊〈但、於富川村大野岩見斫殪シ、懐中ノ密書ハ御会議所ヘ差上〉一人
同日糾武隊松崎辺隊ニテ分取
弾薬二箇
馬三疋
乗鞍二脊
剣二振
旋条砲空丸五
刀一口
赤標人旗一流
黄同一流
短筒三挺
富川仮台場一ケ所
海岸台廿四斤長砲一門
四月廿九日、於矢不来野
傷 糾武隊銃卒 八木忠四郎
五月十一日、三番隊南条小弁司隊、柳岱一ノ台場ニテ賊一人斫殪
明石興司
同日、四番隊佐藤男破魔隊、柳岱一ノ台場先登、同二ノ台場ニテ賊一人斫殪
厚谷孫六
五月十六日、大砲隊田中孫平治隊ニテ、元津軽陣屋ニ於テ分取
大砲運送馬鞍一
合薬二貫目
冷水桶一
フリツキ散弾一
右四月九日乙部揚陸以来、弊藩兵隊所々出発戦争之大概、書面之通御座候、以上
七月
館藩

○第七十七号、軍務官箱館征討合記第八、届書中ニ載スル所ノ件、略之