太政官日誌第百五十一
明治紀元戊辰冬十一月
【出征諸藩隊ヘ御沙汰ノ事】
十一月廿四日御沙汰書写四通
〈各通〉鍋島少将兵隊
島津少将兵隊
相良遠江守兵隊
征討出張、遠路跋渉、日夜攻撃、到処功ヲ奏シ云々〈第百丗一号芸州兵隊ヘ御沙汰書同文〉
〇〈各通〉鍋島少将兵隊
相良遠江守兵隊
征討出張、遠路跋渉、其労不少云々
〈第百丗五号福知山兵隊ヘ御沙汰書同文〉
〇島津少将兵隊
丸田仲二 福永十次
岡山平吉 柚木荘次郎
福永十郎 原田源之丞
土橋栄吉 〈夫卒〉一人
征討出張、遠路跋渉、日夜攻撃遂被創傷云々
〈第百丗五号柳河藩ヘ御沙汰書同文〉
【丹波口援兵被免ノ事】
〇〈各通〉伊達遠江守
伊達鍗之助
非常之節丹波口援兵被仰付置候処被免候事
十一月
【奥州叶津只見西谷附近ノ戦】
同日高島藩届書写
弊藩一小隊、奥州叶津村ニ守衛罷在候処、九月廿二日同州落合村ニ、賊徒二百人程屯集致居候趣ニ付、斥候差出候処、翌廿三日高遠、飯山藩只見村迄引揚候趣申出候ニ付、弊藩持場猶又厳重相備居候処、高遠、飯山両藩引揚来候ニ付及談判、山ノ方高島遠川ノ方、飯山相備候内、賊兵凡三百人程襲来候ニ付、及砲発候処、山ノ方間近ク、台場迄押来候ニ付、烈敷砲発及苦戦候処、引揚之儀、飯山藩ヨリ申越候ニ付、八木沢之方ヘ操引仕、西谷村迄引揚候処、上田一小隊出張有之候間申合、本名村道筋川端ヘ出張相守居候処、賊襲来ニ付及砲発候処、賊散乱致シ候エ共、闇夜ニテ地理モ分リ兼候間、一先川口村迄引揚候様、参謀代市川助一郎申聞、上田藩一同同村迄引揚翌廿六日小栗山村ヨリ古良布村ヘノ間道相固候様、同人申聞、同所ヘ出張罷在候処、食料差支候付、水沼村迄引揚候様達有之、同村ヘ着、上田藩申合、間道ヘ一分隊差出守衛罷在候処、翌廿七日川口村迄進軍、翌廿八日会議所ヨリ達ニ付、横内村ヘ操込候処、又々達有之、翌廿九日叶津村迄進軍、以前之通守衛罷在候旨、出張先家来ヨリ申越候間、御届可申上旨、伊勢守申付越候、此段申上候、以上
十一月廿四日〈諏訪伊勢守家来〉林魯兵衛
同日松本藩届書写二通
当四月、野州表ヘ出兵仕候野々山忠之進隊之内、山中郷太夫儀、同州於安塚戦争之砌、行衛不相知、戦死之有無及穿鑿候得共、死骸モ不相見、脱走ニテモ可有之哉ト、厳敷探索仕候得共、今以行衛相知不申候間、此段御届申上候、以上
十一月廿四日〈戸田丹波守家来〉増田万右衛門
〇
去月五日御届申上候、弊藩近藤伝次郎隊森曽藤次儀、奥州高田駅ニテ深手負候ニ付、於柏崎病院致療養候処、終ニ養生不相叶、去ル十日死去仕候旨、在所表ヨリ申越候間、此段御届申上候、以上
十一月廿四日〈戸田丹波守家来〉増田万右衛門
【宮堂上方知行所ヘ御達(】
同月廿五日御達書写二通【)】
宮堂上方
知行所有之向々ヘ
一、制札ハ最寄府県ヨリ掲示之事
一、領所村々役人等、公事ニ係リ候者ハ、府県ニ於テ可致差配事
但、其地頭限リ用向申付候儀ハ別段之事
一、領所村々宗門人別帳ハ、村役人ヨリ、直ニ府県ヘ可差出事
一、領所年貢之儀ハ、其年々府県ニ於テ取極相達候事
但、当年之儀ハ、従前之通可取計候事
一、領所人夫遣方之儀ハ、兼而御布告有之候駅逓司定則通リニテ、猥ニ申付間敷事
一、領所村方ヘ、無拠次第ニテ、用金等申付候節ハ、前以一応府県ヘ可問合事
右之外政務ニ関係候儀ハ、一切府県ニ於テ可取計候間、兼而相心得候様、御沙汰候事
〇【中大夫以下知行所ヘ御達】
中大夫以下
知行所有之面々ヘ
一、制札ハ最寄府県ヨリ掲示之事
一、知行所村々役人共、其進退トモ、凡テ府県ニテ指揮致シ候ニ付、差配致ス間敷候、尤宗門人別帳ハ、村々ヨリ直ニ府県ヘ可為差出事
一、知行所年貢之儀ハ、其年々府県ニ於テ取極、可相達事
一、知行所村々ヘ、夫役用金等勝手ニ申付間敷事
右之外政務ニ関係致シ候儀ハ、一切府県ニ於テ可取計間、兼而相心得候様、御沙汰候事
十一月
同日御沙汰書写七通【(同日)】
【○出征諸隊ヘ御沙汰ノ事】
大総督宮
随従兵隊
〈各通〉守衛兵隊
征討出張、遠路跋渉、其労不少候云々〈前同文〉
○大総督宮附属
右同文
○大総督宮守衛
池田中将兵隊
黒田宰相兵隊
征討出張、遠路跋渉、日夜攻撃、到処功ヲ奏シ云々〈前同文〉
○徳川三位中将兵隊
〈大総督御使番〉四宮逸作
右同文
○大総督下参謀
大総督下参謀トシテ出張、遠路跋渉、日夜攻撃、到処功ヲ奏シ云々〈前同文〉
但、春来云々
○【大河内右京亮謹慎被免ノ事】
大河内右京亮
其方儀、謹慎申付置候処、被免候事
○【大河内豊前守領知替ノ事】
大河内豊前守
高二万七千二百石余〈上総国夷隅郡〉
其方領知之内、三河国高九千三百五石余、大和国高四百九十八石余、今般上地被仰付、改而前書之通領知下腸候事
十一月
同日御布告書写四通【(同日)】
○【孝子義僕等御褒賞ノ事】
今般御東巡御道筋孝子、義僕、職業出精之者ヘ、御褒賞云々〈第百廿六号御布告書同文〉
但、八十八歳以上之者共ヘハ、既ニ養老之典ヲ以、御扶持下賜候エハ、此度被下ニ不及候事
○【各国公使参朝仰付ラル】
来ル廿二日、三日各国公使参朝被仰付候事
右之通、於東京、被仰出候間、相達候事
○【東京鉄砲洲開市ノ事】
来ル十九日ヨリ東京鉄砲洲開市相成候ニ付而ハ、武家之向無鑑札ニテ外国人居留地ヘ立入候儀不相成候、自然要用有之罷越候節ハ、東京府ヘ申立、印鑑請取、出入共鉄砲洲稲荷橋、真福寺橋、南小田原町橋三ケ所ニ限リ、通行可致候事
右之通、於東京被仰出候間、相達候事
○【諸侯相続、叙位任御礼参内ノ事】
諸侯家督相続并叙位任等被仰付、御礼参内之節、御太刀一腰〈大宮御所ヘ〉干鯛一箱献上可致事
右之通、向後御規則被相定候ニ付、此段相達候事
右於東京、被仰出候間、相達候事
十一月