太政官日誌 明治二年 第百十号
明治己巳 自十二月八日 至十二日
東京城第七十三
○十二月八日〈己巳〉
【奥羽割地改正ノ事】
御布告書写
先般奥羽両国之内、分国被仰出候処、此度更ニ割地、図面之通御改正ニ相成候間、此旨相達候事
磐城国
一、高六万四千百七十石二斗五升八合
白河郡
一、高四万八千九百九十八石壱斗四升九合
石川郡
一、高十万六千七百五十二石八斗五升壱合八勺五才
田村郡
一、高四万石四斗七升九合五勺一才
菊多郡
一、高四万三千六百七十七石九斗五升五合
白川郡
一、高五万四千八百十六石壱斗二升九合三勺
磐前郡
一、高三万弐千四十壱石六斗六升八合
磐城郡
一、高三万千百十七石七斗弐升四合
楢葉郡
一、高弐万二千七百二十五石七斗九升
標葉郡
一、高五万千百四十一石六斗二升一合
行方郡
一、高二万四千八百九十八石一斗九升
宇多郡
一、高二万三千五百三十九石二斗三升
刈田郡
一、高三万九千四百四十二石九斗四升
伊具郡
一、高二万三千五百八十一石八斗一升
亘理郡
右十四郡
高合六十万六千九百四石七斗九升五合六勺六才
岩代国
一、高八万七千二百九十四石六斗六升六合九才
会津郡
一、高五万二千六百九十一石一斗七升六合
大沼郡
一、高十二万二千八百四十八石二升
耶麻郡
一、高七万四千三百八十四石二斗六升五合
河沼郡
一、高六万九千百五十九石六斗二升八合九勺
岩瀬郡
一、高九万七百九十五石九斗一升三合三才
安達郡
一、高五万四千七百四石四斗四升七合二勺九才
安積郡
一、高八万九千三百六十八石五斗九升二合九才
信夫郡
一、高十一万四千四百五十七石二斗五升一合六勺
伊達郡
右九郡
高合七十五万五千七百三石九斗六升
【刈田、伊達両郡分界ノ事】
(陸奥国名寄郡から磐城国田村郡までの郡境界略地図あり)
御沙汰書写
福島県
今般別紙図面之通、分国御改ニ相成候鳩胸山ヨリ峠田岳迄之間、山々峰々通ヲ以、刈田、伊達両郡分界ト被相定候条、為心得相達候事
【捕亡卅人、白河県ヘ差出ノ事】
〇中村藩
其藩ヨリ捕亡之者三十人白河県ヘ差出可申事
【東京府ノ囚獄引渡ノ事】
〇刑部省
従来東京府ニ管轄之囚獄、総テ其省ヘ請取、管轄可致事
○ 東京府
其府管轄之囚獄、総テ刑部省ヘ引渡可申事
【東京府ニ典事ヲ置ク事】
御布告書写
今般府ノ職員中
典事 相当従六位
権典事 相当正七位
右之通被置候間、為心得相達候事
【官員出張届ノ事】
〇
判任以下諸官員、遠国御用出立帰着共、其時々其官省ヨリ、大蔵省ヘ書面ヲ以可相届事
○九日〈丙午〉
【外宮末社遥拝所焼失ノ事】
御布告書写
去月廿九日酉ノ半刻外宮末社遥拝所焼失、延焼モ難計御動座被為在、戍ノ刻鎮火、直ニ還幸ニ相成候旨、言上有之、依之明後十一日酉ノ刻、於庭上御拝被為在候事
【神宮御拝ノ事】
〇
明後十一日神宮御拝ニ付、自今晩刻到十二日朝御神事候事
重軽服者、僧尼参朝可憚事
但、政府出仕之輩ハ、十日酉ノ刻迄ハ不及憚事
○
明後十一日酉ノ刻神宮御拝被為在候ニ付大臣以下弁官迄幷神祇伯、諸省卿、集議長官弾正尹等、申半刻出仕之事
但、衣冠着用之事、所持無之輩ハ、狩衣直垂可為勝手事
○十日〈丁未〉
【遥拝所焼失ニ付罷朝ノ事】
御沙汰書写
去月廿九日外宮末社遥拝所焼失之節御動座被為在候ニ付、明十一日罷朝被仰出候事
【佐賀、高知両藩並増上寺北海道支配地ノ事】
〇佐賀藩
千島国ノ内、振別郡
右其藩ヘ支配被仰付候条、開拓守衛相兼、尽力可致候事
○高知藩
千島国ノ内、蘂取郡
右同文
○増上寺
根室国花咲郡ノ内、志古丹島
右其寺ヘ増支配被仰付候事
○十二日〈己酉〉
【戸田宮内大丞ヘ七千両下賜ノ事】
御沙汰書写
戸田宮内大丞
先年来山陵修営中、奔走尽力、失費不少、依之金七千両下賜候事
巻尾