鎮将府日誌 第十六
明治元年戊辰九月
太政官被仰出書
今般御即位御大礼被為済、先例之通、被改年号候、就而者是迄吉凶之象兆ニ随ヒ屡改号有之候得共、自今御一代一号ニ被定候、依之改慶応四年可為明治元年旨被仰出候事
九月
詔書之写
詔体太乙而登位、膺景命、以改元、洵聖代之典型而、万世之標準也、朕雖否徳、幸頼祖宗之霊、祗承鴻緒、躬親万機之政、乃改元、欲与海内億兆更始一新、其改慶応四年為明治元年、自今以後、革易旧制、一世一元、以為永式、主者施行
明治元年九月八日
○九月八日御沙汰書
三千石 本多駒之助
千石 進佐渡守
三百石 長崎熊之丞
四千石 松平采女
二千石 織田主水
千石 本多吉弥
千石 大久保銑三郎
三百石 井出鉄次郎
五千石 大久保兵庫
五千五百石 酒井采女
今般被召出、本禄如旧下賜候事
慶応四年戊辰九月
○同十日御布告書
近来猥ニ本領安堵抔ト偽リ、元采地百姓共ヘ用金出米等申付、金穀ヲ掠取候族モ有之趣、以ノ外ノ事ニ候、向後右様之者於有之者、屹度御沙汰ニ可被及事
別紙之通御沙汰候間、尚又精々取締、本領安堵之姓名差廻シ候迄、金穀渡方一切不相成候事
九月
会計局並諸所知県事ヘ相廻シ候本領安堵之姓名左之通リ
菅沼左近将監 勝田鋼吉
座光寺盈太郎
大久保与七郎
坪内嘉兵衛
岡田錖之助
新田満次郎
今川侍従
品川侍従
前田侍従
同愿十郎
六角主税
横瀬侍従
長沢内記
大沢采女助
上杉源四郎
那須与一
戸田中務
織田織之助
大友式部
有馬次郎
由良侍従
武田侍従
吉良源五郎
松下嘉兵衛
原田熊太郎
戸田市之進
河野庄左衛門
藤堂秉之丞
有馬鉄三郎
間部内膳
三井万三郎
児島孫七郎
加藤右近
加藤弥一郎
長崎熊之丞
松下采女
織田主水
本多吉弥
大久保鉄三郎
酒井采女
井出鉄次郎
大久保兵庫
進佐渡守
本多駒之助
以上
肥前藩届書二通
八月廿二日白川進発、勢至堂間道滝新田致進軍候処、追分峠其外屯集ノ賊徒、弾薬等打捨、若松ノ方ヘ逃去候付追駆、同廿五日朝、若松到着候処、同所参謀ヨリ天寧寺関門ヨリ湯本迄相固候様御達ニ付、翌廿六日早朝、右二口薩藩江致交代、同日昼頃若松東南ノ隅大窪山辺攻城ノ要地ニ付、取固可然談判相極、薩藩一同、弊藩四小隊、大砲二門差向、右場所相固、其後九月五日各藩談判ニテ、弊藩ヨリ四小隊、大砲一門、越後口為応援致進撃候処、賊徒少々致防戦、左右山手ヘ逃去候ニ付、進撃舟渡迄相進ミ、川向越後ノ官軍江致報知、則兵隊引揚、坂下駅一泊、翌六日前ノ持場帰営、其後持口其外処々ノ小戦ニテ、手負左之通御座候、尤賊死傷、分捕等ハ取調ノ上追テ可申上段、彼地ノ隊長ヨリ申越候、此段御届仕候
深手 倉永助五郎
薄手 田中源次
薄手 高木徳次郎
深手 足軽 峰初瀬右衛門
同 藤川勝太
右之通御座候以上
九月 肥前藩 庄島清五左衛門
藤原口進軍ノ途中、本月朔日於大内峠戦争弊藩先鋒、芸藩、宇都宮藩左右応援挟撃、賊敗走、賊死傷凡七八十人、弊藩死傷左ノ通御座候、委曲ノ儀ハ追而可申上段、彼地ノ隊長ヨリ申越候、此段御届仕候
即死 朝倉新七郎
深手 帰営後死 村島藤左衛門
同 中島義一郎
即死 野中又七
手負 下村安左衛門
同 藪内才吉郎
同 村島辰之助
同 小森喜一郎
同 水町敬蔵
同 庄野伝吾
同 立川又蔵
同 兵夫 二人
右之通御座候以上
九月 肥前藩 庄島清五左衛門
備前藩届書
弊藩人数、兼テ守山表警戍仕居申候処、御達ニ付、去月十七日同所出立、同十九日平城ヘ着陣、猶又御達ニ付、全隊人数ノ内二小隊、会津攻撃、其迹兵隊、不残二本松警戍可致トノ御事ニ付、同廿日同所出立、同廿二日三春表ヘ着陣仕候処、会城攻撃之諸藩ハ、既ニ繰出相成居申候、翌廿三日、一手ハ二本松、一手ハ会津ヘ繰出シ、同廿五日若松ヘ着陣、兼而長州、大垣持場ニ相成候米沢、越後両口ヘ相備被仰付、即夜出兵屯戍仕候処、天寧寺山ヘ転陣之御達有之、同所持場ヘ帰陣被仰付、直ニ一小隊繰揚ケ、同所之内融通寺口二場所、一小隊ニテ持固居申候処、寡兵ヲ見掛ケ候哉、去ル廿九日早天、賊兵凡三百人計襲来、必死ノ兵隊ト相見ヘ、死屍中法名ニ慶応四辰年八月廿九日戦死ト認候書付有之隊長等銃兵ヲ駆逐致シ、其間二十間内外迄繰詰、激烈ノ砲戦、衆寡之格闘、苦戦持怺候内諸手繰出、賊兵崩レ色ニ相成候折柄、一時ニ攻撃、遂ニ敗走致シ、当日長州、大垣、弊藩持場ニテ討斃シ候賊徒、凡百二十五六人計御座候、弊藩一小隊中ニテ、死傷左之通
戦死 銃令隊官 緒方益太郎
深手 同帰営後死 中西寿之介
深手 同帰営後死 斎藤小十郎
同 同 三宅彦太郎
深手 銃隊 光信弥四郎
同 銃隊 浅井清三郎
深手 同 石野喜三右衛門
浅手 同 大森新之介
深手 銃隊 木庭金蔵
浅手 同 小坂直治
浅手 人足 一人
外ニ
銃隊 伊原常三郎
〈但八月廿六日持場巡邏ノ節流丸ニテ重創ヲ受、帰営後死〉其後昼夜無間断、諸手ニテ砲発致シ候得共賊徒襲来ノ勢モ無御座、城中寂寞ノ様相見申候、此段不取敢御届申上候以上
九月 備前侍従内隊長会津在陣 古田藤兵衛
○九月十四日御沙汰書
土浦藩江
過日脱艦乗組致漂流其藩江及降伏候者三十二人、当分ノ内其藩江御預相成候旨御沙汰候事
九月
一高千五百石 諏訪万吉郎
本禄如旧下賜候事
九月
一高千八百石 井戸金平
自今朝臣被召加、本禄如旧下賜候事
九月