太政官日誌・明治2年121号

太政官日誌 明治二年 第百廿一号
明治己巳追録
東京城第七十四
○追録六
【徳川慶勝従一位宣下返上々表ノ事】
徳川正二位上表写
臣慶勝、誠惶誠恐、頓首々々、謹而奉申上候臣尺寸之功労ナク、是迄高位重爵ヲ黷シ、惶懼之至ニ不堪候処、今般褒賞ノ典被為挙、諸功臣ニ連リ、過重之恩命ヲ以テ、従一位ノ宣下ヲ蒙リ候段、尸位之責、仮令朝廷之略シテ不問トモ、自ラ安スル事不能、謹而宣下返上仕候、何卒難黙止臣ノ至情、御洞察被下、願之通速ニ御許容被下置候様、奉懇願候誠惶誠恐、頓首頓首
十月
正二位慶勝
弁官御中
御附紙
辞表之趣、神妙ニ被思食候得共、功労叡感之余被仰出候ニ付、返上之儀者不被及御沙汰候事
【賞秩返上々表ノ事】
成瀬犬山藩知事上表写
大政復古之際、力ヲ皇室ニ尽候段叡感之余、位階一級ヲ被進、世禄五百石下賜旨拝命誠以深重之天恩、難有仕合奉存候、然ル処臣正肥不肖之身ヲ以テ、奉汚恩賞候段、不堪戦慄之至、且ツ頻年海内多事、下民貧困、御賑恤筋ニ付、厚被脳叡念候御時勢ニモ候間右爵禄奉返上度、此段奉願候、恐惶謹言
十月
犬山藩知事
弁官御中
御附紙
前同文<被仰出ヲ被賞賜ニ作ル>
佐土原藩上表写
曩日従四位辱モ叡感ヲ蒙リ、永世三万石ヲ下賜リ、然ルニ嘗テ奉奏候如ク、只宗藩ノ指揮ヲ待チ、聊藩屏ノ任ヲ尽候ノミ、豈何ノ功カ之レアラン、故ニ敢テ其賞典ニ当ラサルヲ以テ、再応御収納奉願候得共御沙汰ニ不被及段被仰渡、猶亦安堵不仕、遮テ御収納奉願候様申越候間、何卒宗藩同様ノ至情御洞察、如願御許容被成下候ハヽ、従四位年来表衷ノ素志愈遂ケ、難有可奉存候間、此段伏而奉懇願候、以上
十月十四日
佐土原藩公用人 片岡新
弁官御役所
御附紙
賞秩返献之儀、宗藩同様再三及懇願候儀、全以憂国之至情深叡感被為在候得共、已ニ宗藩ヘ其功労ニ被為酬候厚キ思食ヲ以テ下賜候儀、決テ不可固辞旨御沙汰相成候ニ付、返上之儀ハ不被及御沙汰候事
佐土原藩上表写
昨年賊徒掃除之砌、禰占才之進、三雲為一郎儀、軍事精勤ニ付、為慰労御目録之通被下候旨、嘗而被仰渡奉畏候、然ル処賞典之儀、従四位頻ニ返上仕候段奉懇願候、就而者才之進、為一郎儀、同様之事ニ付、奉畏入候得共返上仕度奉存候間、此段奉願候、以上
十月
佐土原藩公用人 片岡新
弁官御役所
御附紙
知藩事ヘ御沙汰相成候通、功労ニ依而下賜候ニ付、返献之儀者不被及御沙汰候事
高鍋藩上表写
先般下賜候北越出兵之御褒賞、曩者藩知事ヨリ奉返上度旨、上表仕候所、功労叡感之余リ被賞候ニ付、奉還之儀不被為及御沙汰旨被仰出、重畳難有仕合奉存候得共、全ク寡少之兵、寸分之功無御座、聊先祖春実以来之微志ヲ継候而已ニテ、藩屏之責任不能尽、夙夜惶懼罷在候処、如是過優之御賞賜ヲ蒙リ候テハ、甚以不奉堪恐悚之至候間、奉還仕度奉存候折節、内外御費用被為在候上、北海道御開拓、殊ニ年穀不熟、窮民御扶助等、彼是御憂慮之余リ、恐多モ主上格別御節用被為在候詔旨拝承仕、実ニ不奉堪恐縮之至候、然ニ重賞、徒ニ拝戴仕候儀、臣子之至情如何ニモ難忍奉存候間、何卒先願之通御聞済被成下候様可仕旨、追々申越候間、乍恐再願仕候以上
十月廿五日
高鍋藩公用人 田村増吉
弁官御役所
御附紙
再応願之趣、神妙ニ被思食候、併賞典之儀者、功労ニ依テ被仰出候ニ付、返上之儀者不被及御沙汰候事
平松宮内権大亟上表写
去年兵馬之余リ、諸州凶歉、徭役繁多、民生ヲ聊セス、之ヲ賑恤スルニ足ラス、之ニ加フルニ外国交際、用度給セサルヲ以テ皇上宵肝、天下ノ憂ニ先ンセラレ、竟ニ御饌ヲ減シタマフニ至ル宸襟ヲ煩ハス此ノ如シ、然ニ臣曩ニ非常ノ賞典ヲ蒙ル、功寡シテ賞多ク皇恩過渥臣実ニ感激ニ堪ヘス、方今形勢曽テ御布令ノ旨趣モ拝承シ、豈安然坐視スルニ忍ンヤ、願クハ大蔵省欠費相復候迄、嚮ニ下賜フ所ノ禄ヲ納レテ、以テ聊カ救民ノ万一ヲ補ハン、区々ノ微忱、伏テ御許容奉願候也
十二月
平松宮内権大亟時厚
弁官御中
御附紙
懇願之旨趣、全ク至誠之所致、神妙之至被思食候、就而ハ乍御不本意、当年限賞秩半方返納被聞食候事
兵部省諸官員上表写
謹粛頓首奉言上候、臣等過日軍功御賞トシテ、各秩禄永世下賜、無功之臣等恐懼戦慄之至リニ不堪候間、各微衷ヲ以奉還奉願候処叡感之余被仰出候儀ニ付、難被及御沙汰旨御附紙ニ相成、強而奉願候モ恐入奉存候間其侭奉拝戴罷在候処、当年ハ気候殊ニ不順、諸道不稔ニ付、大蔵之糴入殆ト十ガ一ニモ不足、加之昨春来多端之御入費、且旧歳内外之国債相嵩、弥以必至切迫之段承之、驚歎恐縮之至リニ奉存候、就而者臣等賞禄拝受仕居候而者、如何ニモ恐懼之至奉存候間、一同奉返上度至願ニ御座候、勿論是以聊之儀、何之御償ニモ相成間敷候得共、即今海陸軍事専務之儀ニ御座候得者、一切右御入費江御加被下候様仕度奉存候間、臣等之微衷万御憐察被成下今般ハ必御許用相成候様、敢而奉歎願候、誠恐誠言
十二月十四日
石井兵部権少亟
増田兵部少亟
曽我兵部少亟
船越兵部権大亟
香川兵部権大亟
黒田兵部大亟
山田兵部大亟
河田兵部大亟
久我兵部少輔
前原兵部大輔
弁官御中
御附紙
賞典ハ深重之叡旨ヲ以被仰出候事ニ付、願之趣不被及御沙汰段、先達而御達相成候処、猶又今般懇願之旨趣、全ク至誠之所致、神妙之至被思食候、就而者乍御不本意海陸軍御用途ニ可被為充行、当年限賞秩半方返納被聞召候事
吉井弾正少弼上表写
当歳非常之凶荒旁ニテ、会計難被為立段奉恐入候、依而頂戴仕居候御賞典幷官禄共全上納仕度奉懇願候、誠惶誠恐、頓首敬白
十二月廿三日
吉井徳春
弁官御中
御附紙
懇願之旨趣、全ク至誠之所致、神妙之至ニ被思食候、就而ハ乍御不本意当年限賞秩半方返納被聞食候、官禄之儀ハ追而御沙汰有之候迄、是迄之通可相心得事

太政官日誌・明治2年110号

太政官日誌 明治二年 第百十号
明治己巳 自十二月八日 至十二日
東京城第七十三
○十二月八日〈己巳〉
【奥羽割地改正ノ事】
御布告書写
先般奥羽両国之内、分国被仰出候処、此度更ニ割地、図面之通御改正ニ相成候間、此旨相達候事
磐城国
一、高六万四千百七十石二斗五升八合
白河郡
一、高四万八千九百九十八石壱斗四升九合
石川郡
一、高十万六千七百五十二石八斗五升壱合八勺五才
田村郡
一、高四万石四斗七升九合五勺一才
菊多郡
一、高四万三千六百七十七石九斗五升五合
白川郡
一、高五万四千八百十六石壱斗二升九合三勺
磐前郡
一、高三万弐千四十壱石六斗六升八合
磐城郡
一、高三万千百十七石七斗弐升四合
楢葉郡
一、高弐万二千七百二十五石七斗九升
標葉郡
一、高五万千百四十一石六斗二升一合
行方郡
一、高二万四千八百九十八石一斗九升
宇多郡
一、高二万三千五百三十九石二斗三升
刈田郡
一、高三万九千四百四十二石九斗四升
伊具郡
一、高二万三千五百八十一石八斗一升
亘理郡
右十四郡
高合六十万六千九百四石七斗九升五合六勺六才
岩代国
一、高八万七千二百九十四石六斗六升六合九才
会津郡
一、高五万二千六百九十一石一斗七升六合
大沼郡
一、高十二万二千八百四十八石二升
耶麻郡
一、高七万四千三百八十四石二斗六升五合
河沼郡
一、高六万九千百五十九石六斗二升八合九勺
岩瀬郡
一、高九万七百九十五石九斗一升三合三才
安達郡
一、高五万四千七百四石四斗四升七合二勺九才
安積郡
一、高八万九千三百六十八石五斗九升二合九才
信夫郡
一、高十一万四千四百五十七石二斗五升一合六勺
伊達郡
右九郡
高合七十五万五千七百三石九斗六升
【刈田、伊達両郡分界ノ事】
(陸奥国名寄郡から磐城国田村郡までの郡境界略地図あり)
御沙汰書写
福島県
今般別紙図面之通、分国御改ニ相成候鳩胸山ヨリ峠田岳迄之間、山々峰々通ヲ以、刈田、伊達両郡分界ト被相定候条、為心得相達候事
【捕亡卅人、白河県ヘ差出ノ事】
〇中村藩
其藩ヨリ捕亡之者三十人白河県ヘ差出可申事
【東京府ノ囚獄引渡ノ事】
〇刑部省
従来東京府ニ管轄之囚獄、総テ其省ヘ請取、管轄可致事
○ 東京府
其府管轄之囚獄、総テ刑部省ヘ引渡可申事
【東京府ニ典事ヲ置ク事】
御布告書写
今般府ノ職員中
典事 相当従六位
権典事 相当正七位
右之通被置候間、為心得相達候事
【官員出張届ノ事】

判任以下諸官員、遠国御用出立帰着共、其時々其官省ヨリ、大蔵省ヘ書面ヲ以可相届事
○九日〈丙午〉
【外宮末社遥拝所焼失ノ事】
御布告書写
去月廿九日酉ノ半刻外宮末社遥拝所焼失、延焼モ難計御動座被為在、戍ノ刻鎮火、直ニ還幸ニ相成候旨、言上有之、依之明後十一日酉ノ刻、於庭上御拝被為在候事
【神宮御拝ノ事】

明後十一日神宮御拝ニ付、自今晩刻到十二日朝御神事候事
重軽服者、僧尼参朝可憚事
但、政府出仕之輩ハ、十日酉ノ刻迄ハ不及憚事

明後十一日酉ノ刻神宮御拝被為在候ニ付大臣以下弁官迄幷神祇伯、諸省卿、集議長官弾正尹等、申半刻出仕之事
但、衣冠着用之事、所持無之輩ハ、狩衣直垂可為勝手事
○十日〈丁未〉
【遥拝所焼失ニ付罷朝ノ事】
御沙汰書写
去月廿九日外宮末社遥拝所焼失之節御動座被為在候ニ付、明十一日罷朝被仰出候事
【佐賀、高知両藩並増上寺北海道支配地ノ事】
〇佐賀藩
千島国ノ内、振別郡
右其藩ヘ支配被仰付候条、開拓守衛相兼、尽力可致候事
○高知藩
千島国ノ内、蘂取郡
右同文
○増上寺
根室国花咲郡ノ内、志古丹島
右其寺ヘ増支配被仰付候事
○十二日〈己酉〉
【戸田宮内大丞ヘ七千両下賜ノ事】
御沙汰書写
戸田宮内大丞
先年来山陵修営中、奔走尽力、失費不少、依之金七千両下賜候事
巻尾

太政官日誌・明治2年109号

太政官日誌 明治二年 第百九号
明治己巳 自十二月二日 至七日
東京城第七十二
○十二月二日〈己亥〉
【士族禄制御定ノ事】
御布告写
一、先般各藩大義名分之紊壊ヲ正シ、海外諸国之形勢ヲ察シ、以テ其封土ヲ奉還ス、依テ大ニ公論衆議ヲ被為尽、府藩県一途之政令ニ帰シ、天下ト共ニ綱紀ヲ更張被遊度御主意ニ付、更ニ知藩事ニ被任、随而家禄之制被為定、藩々ニ於而モ維新之御政体ニ基キ、追々改正可致、就而者中下大夫士以下之称被廃、都テ士族及卒ト称、禄制被相定候、爾後各其地方官ニ於テ、可為貫属旨被仰出候条、篤ト御主意ヲ奉体シ、銘々分ヲ守リ、其職ヲ可尽候事
但、知行所一同上地被仰付、総テ廩米ヲ以テ賜候事
一、大夫士以下之面々、今般家禄御定相成候ニ付而者、其家来共三代以上相恩之者ハ、相応之御扶助可被下候間、姓名幷ニ従前之禄、扶持米等取調、早々可申出事
但旧主ニ於テ扶持致シ候儀ハ可為勝手事規則
一、禄制二十一等ニ分チ、士族ハ十八等ニ止候事
但、士族ノ元高十三石ニ満タス、卒ノ元高八石ニ満サル者ハ、是迄通之事
一、元禄ハ現今被宛行候高ヲ以テ定候事
一、旧来同心之輩ハ、卒ト可称事
一、禄制ハ総テ現石高ヲ可称事
一、禄制当年ハ是迄之通、来春ヨリ可減事
一、禄ハ都而廩米ニテ賜候間、其触頭ニテ取糾、大蔵省ヘ可申出事
禄制
一、元禄万石未満九千石迄 現米 二百五十石
一、同九千石未満八千石迄 二百二十五石
一、同八千石未満七千石迄 二百石
一、同七千石未満六千石迄 百七十五石
一、同六千石未満五千石迄 百五十石
一、同五千石未満四千石迄 百三十五石
一、同四千石未満三千石迄 百二十石
一、同三千石未満二千石迄 百五石
一、同二千石未満千五百石迄 九十石
一、同千五百石未満千石迄 七十五石
一、同千石未満八百石迄 六十五石
一、同八百石未満六百石迄 五十五石
一、同六百石未満四百石迄 四十五石
一、同四百石未満三百石迄 三十五石
一、同三百石未満二百石迄 二十八石
一、同二百石未満百五十石迄 二十二石
一、同百五十石未満百石迄 十六石
一、同百石未満八十石迄 十三石
一、同八十石未満六十石迄 十一石
一、同六十石未満四十石迄 九石
一、同四十石未満三十石迄 八石
一、同三十石以下 是迄之通
但、免二ツ五分、四捨五入之法ヲ以テ、斗ニ切上ケ可申事以上
御沙汰書写
京都府
東京府
今般士族之面々、別紙之通被仰付、其府管内ニ有之分ハ、総テ可為貫属旨、被仰出候間、此段相達候事
○ 府県
右同文
○ 民部省
今般士族之面々、別紙之通被仰付候間、大阪府幷諸県、其省ヨリ相達可申候事
○ 大蔵省
今般士族之面々、別紙之通被仰付候条、為心得相達候事
【東京在留諸藩士等公事出入ノ事】
御布告写
諸官幷宮、華族之家士及諸藩士等、東京在留之向、東京府下ヘ相関リ候公事出入有之節、以来東京府ヨリ其主長ヘ一応掛合之上、本人直ニ呼出シ、取捌候間、此旨兼テ相心得可申事
但、諸官員之儀ハ、奏任以上ハ家来、判任以下ハ本人呼出候事
御沙汰書写
東京府
別紙之通、御布令相成候間、為心得相達候事
【鳥取藩北海道支配地ノ事】
〇鳥取藩
後志国島牧郡之内
会所元ヨリ南之方シツキ境迄
但、会所相属
右其藩支配被仰付候事
(14行分摺り消し)

○三日〈庚子〉
【近藤外三家領地奉還ノ事】
御沙汰書写
元中大夫 近藤用虎
足利木久麿
元下大夫 秋月二郎
元上士 児島孫七郎
今般領地奉還之儀、神妙ニ被思食、言上之通被聞食候事
【村上藩士御預ノ事】
〇村上藩
其藩士
鳥居与一右衛門
水谷孫平治
近藤幸次郎
平井伴右衛門
高橋佐治右衛門
右之者共、和歌山藩ヘ御預被仰付候間、引渡可申事
○和歌山藩
別紙名前之者、其藩ヘ御預被仰付候事
但、受取方ハ、村上藩ヘ打合可申事
別紙ハ村上藩士名前ナリ
【三根山藩土地替ノ事】
〇三根山藩
其藩支配地、今般土地替被仰出候処、更ニ御詮議之次第有之、御差止相成、込高之内五百石被召上候間、越後国蒲原郡平野幷ニ下山村之内ニテ上地、水原県ヘ引渡可申事
【仏光寺北海道支配地ノ事】
〇仏光寺
後志国島牧郡之内
運上屋元ヨリ東ノ方ヱカエチシ迄
右地所支配被仰付、将又石狩国札幌、空知両郡之内ヘモ、便宜之土地開拓相成候様、尽力可致事
○五日〈壬寅〉
按察使ヘ御沙汰書写
民政ハ治国之大本、至重之事トス、御一新以来、専ラ億兆其所ヲ得テ、生業勉励候様トノ御趣意之処、越後全国之儀ハ、去年兵馬之衢ト成リ、加之地方官屡変換、諸藩之情状未タ区々モ有之哉ニ相聞ヘ、彼是下民安堵ニ至ラス、実ニ北方之動静ニ相係リ候儀ニ付、今般当分按察使兼勤被仰付候ニ付テハ、藩県之政績ヲ熟察シ、地方官ト戮力協心御趣意ヲ奉体シ、専ラ布政施治ノ道ヲ尽シ、上下之情ヲ貫通セシム可ク候事
右大臣
【府藩県ノ楮幣製造禁止ノ事】
御布告書写
先般御布告有之候通、追テ新貨幣御鋳造、御国内金銀貨幣御改正、昨年御施行之楮幣ハ、追々御引替可相成儀ニ付、諸藩ニ於テ、旧幕府ヨリ許可ヲ受、従前製造之楮幣、以来其数ヲ増益致シ候儀、厳禁被仰出候間、是迄製造惣高調、来午ノ二月中迄ニ、大蔵省ヘ可届出候、且御一新後、府藩県ニ於テ、楮幣製造之向ハ、以来通用停止被仰出候間、此段相達候事
但、製造無之府藩県ハ、其趣早々同省ヘ可届出事
○七日〈甲辰〉
【松平容保御預替ノ事】
御沙汰書写
鳥取藩
松平容保儀、今般和歌山藩ヘ御預替被仰付候間、引渡可申事
○和歌山藩
松平容保儀、其藩ヘ御預被仰付候事
但、鳥取藩ヨリ早々受取可申事
【水原県兵隊引渡ノ事】
〇水原県
其県管轄之兵隊、三十五歳以下之者、兵部省ヘ引渡可申、三十五歳以上之者ハ、相応之手当差遣シ、帰籍可申付事
○ 兵部省
今般水原県兵隊、引渡候ニ付、於其省管轄可致事

兵隊六小隊、水原県ヘ出張可申付候事