太政官日誌・明治2年98号

太政官日誌 明治二年 第九十八号
明治己巳 九月十四日
東京城第六十一
○九月十四日〈壬午〉

賞典録第二
御沙汰書写
松前敦千代
戊辰之冬、流賊侵掠之折柄、命ヲ奉シテ青森ニ還リ、兼広ヲ輔佐シ、竟ニ回復之功ヲ奏シ候段叡感被為在、仍為其賞、御太刀一口下賜候事
○ 堀真五郎
己巳之歳、蝦地流賊追討之砌、参謀之命ヲ奉シ、総督ニ与参シ、軍務勉励之段叡感被為在、依之為御太刀料、金三百両下賜候事
○ 春日艦長 赤塚源六
己巳之歳、於蝦地流賊追討之砌、殊死奮戦、指揮得其宜候段叡感不浅、依之為御太刀料金千両下賜候事
○ 各通 丁卯艦長 山県久太郎
延年艦長 沢野虎六
己巳之歳、於蝦地流賊追討之砌、奮戦尽力之段叡感被為在、依之為御太刀料、金四百両下賜候事
○ 飛竜丸船長 岡啓三郎
己巳之歳、於蝦地流賊追討之砌、遂戦争候段神妙之至被思食、依之為御短刀料、金三百両下賜候事
○ 各通 豊安丸船長 入江良之進
晨風丸船長 西田元三郎
己巳之歳、於蝦地流賊追討之砌、終始尽力之段、神妙被思食、依之為御短刀料、金二百五十両下賜候事
○ 各通 岸良彦七
野田大造
前田雅楽
今井亮介
松本鼎造
和田槙之助
村橋直衛
宮川助五郎
寺田良輔
三刀屋七郎次
香川主税
山県甲之進
山県与三
不破一学
有地志津摩
原川魁助
柳川東洋
田島敬蔵
己巳之歳、於蝦地流賊追討之砌、軍務勉励之段、神妙之至被思食、仍為其慰労、目録之通下賜候事
○ 虎房丸
己巳之歳、函館攻撃之砌、賊等海中ニ綱索ヲ張リ、官艦ノ障碍ヲ設ケ候折、窃ニ情実ヲ察シ、官軍ニ申出、続テ右綱索切除、連夜尽力之段、神妙之至ニ候、仍テ金二百両下賜候事
○ 各通 住吉丸
子日丸
函館攻撃之砌、海路障碍ノ綱索切除之節、尽力候段、奇特之事ニ候、仍テ金六十両下賜候事
○ 各通 藤井源之進
長谷川巌
小田吉兵衛
富士亦八郎
西尾棟
田村粂之助
井口貫七
深沢伝八
中田伝蔵
今鷹次郎
三浦只五郎
久保木左忠
鈴木金吾
藤岡与市
今井止平
小池仙之進
奥寺鉄四郎
井上金次郎
小野俊十
加根直人
大野太郎
大坪伴吉
平田男也
恵利宗吉
金木松之助
小田桐謙治
江沢繁之助
松浦信之助
信沢銀蔵
竹内三大夫
川口柳之助
山県立右衛門
若尾念斎
綿貫敬太郎
黒杭善介
竹山謙三
吉村君平
富田友吉
寺沢倉吉
高松幸之進
江幡徳三郎
己巳之歳、於蝦地流賊追討之砌、軍務勉励之段、奇特之至候、仍為其慰労、目録之通下賜候事
兵部省
○ 各通 大井梅次
中村作一郎
千田正之進
斎藤助作
菊地愛太郎
角田百松
松原今之助
内藤吉郎太
己巳之歳、函館出張、為其慰労、目録之通下賜候事
兵部省
○ 斎藤順三郎
己巳之歳、函館攻撃之砌、順三郎儀、窃ニ官軍ニ尽力候処、終ニ賊徒ノ為メ非命之死ヲ遂候段、不憫ノ至ニ候、仍祭米トシテ一人扶持下賜候事
兵部省
○ 函館住 鍛冶 連蔵
己巳之歳、函館攻撃之砌、窃ニ賊ノ砲台ニ忍入リ、大砲ノ火門ニ釘ヲ打込ミ官軍ニ申出続テ進入ノ時、寒川口ニ嚮導シ、大ニ官軍ノ助ケヲ為シ候段、神妙之至ニ候、依之苗字帯刀差許シ、三人扶持下賜候事
○ 函館住 勇蔵
函館攻撃之砌、鍛冶連蔵ト共ニ、窃ニ函館ヲ脱シ、賊ノ情実官軍ニ申出、続テ進入之節嚮導ヲナシ候段、奇特ノ事ニ候、仍テ目録之通下賜候事
賞典御判物文例如左
正四位藤原朝臣公考
高二百五十石
右依軍功永世下賜候事
○ 従三位源朝臣忠義
高一万三千三百石
右依海陸兵軍功三年間下賜候事
○ 従二位源朝臣長勲
高九百石
右依功労三年間下賜候事
○ 駒井政五郎
高五十石
右為祭粢永世下賜候事
明治二年己巳九月
□ハ太政官印