太政官日誌・明治2年64号

太政官日誌 明治二年 第六十四号
明治己巳 自六月九日 至十五日
東京城第二十七
○六月九日〈己酉〉
【池田武蔵守東京ヘ召サル】
御沙汰書写
池田武蔵守
御用有之、至急東京ヘ罷出候様御沙汰候事
【松井、大給任叙ノ事】
宣下状写
松井錦之進
任周防守
叙従五位下
右宣下候事
○ 大給起之助
任信濃守
叙従五位下
右宣下候事
○十日〈庚戍〉
【桂宮御警衛交代ノ事】
御沙汰書写
池田武蔵守
御留守中、桂宮御警衛被仰付置候処、今度被免候事
○ 長岡左京亮
御留守中、桂宮御警衛被仰付候事
但、万一御近火等有之節ハ、早速参入勿論之儀ニ付、伺候之所等、前以右御所取次ヘ申合セ可置事
【神社取調ノ事】
御達書写
一、神職之者、家内ニ至迄神葬祭、社僧別当復飾等之儀、昨年御布告相成候上ハ、出願ニ不及筋ニ候処、今以願書差出候向モ有之候間、府藩県ニテ、兼テ御布令之御趣意、行届候様可致事
但、社僧別当復飾之上、其所部之府藩県ヨリ取纏メ、神祇官ヘ可届出事
一、神職継目並社僧別当復飾致シ、神主社人等之称号、其府藩県ニテ取糾之上、押印副書ヲ以、神祇官ヘ可願出事
但、差向出京難渋之向ハ、兼テ布告之通可相心得事
一、神職之者、諸願伺等府藩県ニテ篤ト取糾副書面其事柄具ニ可書載事
一、先達テ布告有之候延喜式神名帳ニ所載、諸国大小之神社並ニ式外ニテモ大社之分、或ハ即今府藩県側近ニテ崇敬之神社等、精シク可申出事
一、諸国神社勅願所之分、由緒社伝、御奉納之品等、巨細取調可差出事
右之通ニ候間、此旨相達候事
【招魂祭執行ニ付諸藩戦死者取調ノ事】
近々招魂祭被行候ニ付、昨春来為追討出兵之諸藩戦死届之儀、未相済向モ有之候ハヽ、急々取調、神祇官ヘ可届出事
○十二日〈壬子〉

御沙汰書写
【正親町三条公等上京仰付ラル】
各通 正親町三条前大納言 土方五位
御用有之候ニ付、早々上京被仰付候事
【○箱館降人処置御委任ノ事】
〇軍務官
箱館降伏人御処置之儀、其官ヘ御委任被仰付候事
【○大宮ヘ勅使御差遣ノ事】
〇大宮県
来十五日一宮ヘ勅使幷神祇官官員二名参向相成候間、為心得相達候事
【○天武天皇御旧跡御保存ノ事】
〇徳川三位中将
伊勢国桑名郡天武天皇御社ハ、御旧跡之儀ニ付、永世湮没無之様、被為成度思食ニ付同所取締中、於其藩可取計旨御沙汰候事
【○前田、井伊、加藤供奉被免ノ事】
前田宰相中将
御東幸供奉後衛被仰付置候処、被免候事
○ 井伊中将
右同文〈後衛ヲ前駆ニ作ル〉
○ 同人ヘ
其藩兵隊、輔相附被仰付置候処、被免候事
○ 加藤能登守
御東幸供奉被免候事
但、内侍所御警衛之儀ハ、可為是迄之通事
【○青森口総督被免ノ事】
〇清水谷侍従
箱館表賊徒平定ニ付、青森口総督被免、箱館府知事是迄之通被仰付候事
○十四日〈甲寅〉
【府県学校取調御取止ノ事】
御達書写
昌平学校
府県学校取調之儀、学校ヘ被仰付候処、此度民部官御設ニ相成、府県事務総而右官ニ於テ御規則相立候間、府県学校取調之儀、御取止ニ相成候事
【三陸巡察使仰付ラル】
御沙汰書写
坊城左少弁
当官ヲ以テ、三陸巡察使被仰付候事
○十五日〈乙卯〉
【酒井徳之助土地替ノ事】
御沙汰書写
各通 福島府
磐城県
白河県
其府県管轄所之内、別紙目録写之通、酒井徳之助ヘ土地替被仰付候間、当巳年ヨリ物成郷村帳等引渡可申旨御沙汰候事〈別紙目録写略之〉
○ 酒井徳之助
今般土地替被仰付候ニ付、管轄地目録之通引渡被仰付候事〈別紙目録写略之〉
○ 同人ヘ
磐城国磐城平城、御預被仰付候事

輔相ヨリ三陸巡察使ヘ達書写
民政ハ治国之大本、至重之事トス御一新以来、専ラ億兆其所ヲ得テ、生業勉励候様トノ御趣意ノ処、三陸之地ハ、去年兵馬事起リシヨリ今日ニ至リ、万民危疑、物情騒然、加之各藩ニ於テモ、頗ル紛紜、一定セサル所モ有之由、実ニ大政之隆替ニ関渉シ、不相済事ニ付、今般巡察使トシテ被遣候間、地方官及ビ出張諸有司ト戮力協心、専ラ御趣意ヲ奉体シ、風土民俗ヲ熟察シ、撫育之道厚ク其力ヲ尽シ、能ク民心ヲ収メ、上下ノ情ヲ貫通セシメ、且時宜ニ依リ其城邑ニ臨ミ、能ク其情状ヲ検査シ、懇切ニ教導、人心ヲ一定セシムヘキ事
一、判県事以下、即今民政役所在職ノ者云々
一、年貢諸上納ハ、先ツ旧貫ニ従フヘシ云々
一、鰥寡孤独廃疾等無告之窮民篤ト云々
但シ、一時賑恤勿論ト雖モ云々
一、戦地夫役ヲ勤メ或、ハ死傷シ云々
一、刑律ハ詳細検覈ノ上、施行スヘシ云々
一、諸有司ハ素ヨリ所役人ニ至ル迄云々
一、前条ノ外重大ノ事件ハ云々〈以上七ケ条ハ第五十三号岩代国巡察使ヘ御委任状ト同文〉
右之条々宜相守者也
輔相

校正
第六十一号、三葉後面、世良修蔵ヘ祭粢百五十石トアルハ、四百五十石ノ誤ナリ
第六十二号、十葉前面、堀江提一郎ノ次ヘ、国枝岩太郎一名ヲ脱ス