太政官日誌 明治二年 第六十八号
明治己巳 六月廿五日
東京城第三十一
○六月廿五日〈乙丑〉
【知藩事ノ令終ル】
知藩事ノ令今日ニ至テ終ル、御沙汰書写如左
姓名
何藩知事被仰付候事
明治二年己巳六月
□ハ太政官印ナリ
【版籍奉還聞食サル】
版籍奉還願出候面々ヘ、添御沙汰書写如左
姓名
今般版籍奉還之儀ニ付、深ク時勢ヲ被為察広ク公議ヲ被為採、政令帰一之思食ヲ以テ言上之通被聞食候事
版籍奉還不願出面々ヘ、添御沙汰書写如左
姓名
今般版籍奉還之儀、列藩及建言候ニ付、深ク時勢ヲ被為察、広ク公議ヲ被為採、政令帰一之思食ヲ以テ、言上之通被聞食候依之於其藩モ封土版籍返上被仰付候事
遂日知藩事被仰付、順次如左
版籍奉還願出候面々
○六月十七日
加賀金沢 前田宰相中将
薩摩鹿児島 島津宰相
駿河静岡 徳川新三位中将
尾張名古屋 徳川三位中将
紀伊和歌山 徳川中納言
肥後熊本 細川中将
筑前福岡 黒田少将
安芸広島 浅野中納言
周防山口 毛利宰相
肥前佐賀 鍋島少将
常陸水戸 徳川少将
因幡鳥取 池田中納言
伊勢津 藤堂中将
越前福井 松平越前守
備前岡山 池田少将
陸前仙台 伊達亀三郎
近江彦根 井伊中将
土佐高知 山内少将
筑後久留米 有馬中将
羽後久保田 佐竹宰相
出雲松江 松平少将
上野前橋 松平大和守
伊予松山 久松少将
大和郡山 柳沢侍従
豊前香春 小笠原豊千代丸
越後高田 榊原侍従
播磨姫路 酒井侍従
羽前米沢 上杉式部大輔
岩代白石 南部甲斐守
讃岐高松 松平讃岐守
下総佐倉 堀田相模守
備後福山 阿部主計頭
若狭小浜 酒井前少将
山城淀 稲葉侍徒
伊予宇和島 伊達侍従
加賀大聖寺 前田侍従
越中富山 前田淡路守
美濃大垣 戸田采女正
美作津山 松平中将
越後新発田 溝口伯耆守
○十九日
豊前中津 奥平美作守
対島厳原 宗少将
常陸土浦 土屋相模守
上野高崎 大河内右京亮
播磨明石 松平左兵衛督
常陸笠間 牧野金丸
下総古河 土井大炊頭
相模小田原 大久保相模守
豊後岡 中川侍従
肥前島原 松平主殿頭
三河豊橋 大河内刑部大輔
日向延岡 内藤備後守
丹後宮津 本荘伯耆守
名代隠居丹後守
羽前新荘 戸沢中務大輔
肥前平戸 松浦肥前守
伊予大洲 加藤遠江守
肥前唐津 小笠原中務大輔
三河西尾 松平和泉守
丹波笹山 青山左京大夫
上野館林 秋元但馬守
信濃松本 戸田丹波守
近江膳所 本多主膳正
上総舞鶴 井上侍従
伊勢亀山 石川日向守
磐城棚倉 阿部基之助
信濃上田 松平伊賀守
和泉岸和田 岡部美濃守
讃岐丸亀 京極佐渡守
播磨竜野 脇坂淡路守
日向飫肥 伊東左京太夫
名代嫡子修理大夫
岩代二本松 丹羽五郎左衛門
豊後白杵 稲葉右京亮
上総芝山 太田備中守
磐城三春 秋田信濃守
筑前秋月 黒田甲斐守
越前丸岡 有馬遠江守
丹波亀岡 松平図書頭
三河岡崎 本多中務大輔
名代重臣
上総菊間 水野羽後守
美濃郡上 青山大膳亮
○二十日
下総関宿 久世順吉
摂津尼崎 桜井遠江守
越前大野 土井能登守
安房長尾 本多紀伊守
越前鯖江 間部下総守
紀伊田辺 安藤飛騨守
摂津高槻 永井日向守
摂津三田 九鬼長門守
伊予今治 久松壱岐守
上野沼田 土岐隼人正
丹後舞鶴 牧野錂太郎
尾張犬山 成瀬隼人正
名代重臣
信濃高遠 内藤若狭守
紀伊新宮 水野大炊頭
丹波福地山 朽木近江守
豊後杵築 松平河内守
美濃加納 永井肥前守
但馬出石 仙石讃岐守
名代重臣
信濃高島 諏訪伊勢守
伊予西条 松平左京大夫
名代重臣
美濃岩村 松平能登守
上総久留里 黒田筑後守
下野烏山 大久保佐渡守
下野壬生 鳥居丹波守
名代弟右近
上野安中 板倉主計頭
志摩鳥羽 稲垣対馬守
伊予吉田 伊達若狭守
美濃高須 松平範次郎
名代重臣
出雲広瀬 松平佐渡守
越後村松 堀貞次郎
名代重臣
三河重原 板倉内膳正
日向土佐原 島津淡路守
日向高鍋 秋月長門守
名代重臣
陸中一ノ関 田村鎮丸
羽前上ノ山 松平豊熊
丹波園部 小出伊勢守
近江水口 加藤能登守
大和高取 植村羽前守
豊後日出 木下大和守
備中足守 木下備中守
名代重臣
○二十二日
磐城中村 相馬因幡守
名代重臣
磐城磐城平 酒井徳之助
常陸松岡 中山備中守
越後長岡 牧野鋭橘
三河刈谷 土井淡路守
武蔵岩槻 大岡主膳正
美作真島 三浦玄蕃頭
越前勝山 小笠原左衛門佐
羽後松嶺 酒井信三郎
肥後人吉 相良遠江守
豊後府内 大給左衛門尉
名代嫡子信濃守
羽後本荘 六郷兵庫頭
名代重臣
陸奥八戸 南部侍従
名代嫡子璟之丞
丹波柏原 織田出雲守
美濃今尾 竹腰伊予守
上総飯野 保科弾正忠
信濃飯山 本多乙次郎
名代父竹仙
播磨赤穂 森越後守
近江大溝 分部若狭守
名代嫡子掃部助
磐城守山 松平大学頭
名代嫡子廿二麿
上野小幡 松平摂津守
常陸石岡 松平侍従
豊後佐伯 毛利伊勢守
備中庭瀬 板倉摂津守
越後与板 井伊右京亮
上野伊勢崎 酒井下野守
三河挙母 内藤丹波守
常陸下館 石川若狭守
名代重臣
丹波綾部 九鬼大隅守
備中新見 関伊勢守
近江西大路 市橋下総守
名代嫡子信一郎
下野黒羽 大関美作守
羽前天童 織田寿重丸
名代重臣
羽後亀田 岩城亀五郎
名代重臣
下総結城 水野禊之助
磐城泉 本多兵庫助
常陸谷田部 細川玄蕃頭
上総佐貫 阿部駿河守
下野佐野 堀田摂津守
信濃竜岡 大給縫殿頭
名代重臣
羽後矢島 生駒讃岐守
但馬豊岡 京極飛弾守
○二十三日
三河半原 安部摂津守
播磨三日月 森対馬守
信濃飯田 堀美濃守
信濃岩村田 内藤志摩守
上総鶴牧 水野肥前守
伊勢神戸 本多河内守
磐城湯長谷 内藤英之助
和泉伯太 渡辺丹後守
近江山上 稲垣若狭守
名代嫡子藤五郎
近江宮川 堀田豊前守
相模荻野山中 大久保中務少輔
上総一ノ宮 加納遠江守
備中成羽 山崎志摩守
肥前福江 五島飛弾守
豊後森 久留島伊予守
三河田原 三宅備後守
武蔵六浦 米倉丹後守
下総多古 久松大蔵少輔
近江三上 遠藤但馬守
安房加知山 酒井大和守
下野大田原 大田原飛弾守
丹後峰山 京極備中守
和泉小泉 片桐主膳正
伊勢薦野 土方大和守
下野足利 戸田長門守
羽前長瀞 米津伊勢守
但馬村岡 山名因幡守
三河西端 本多対馬守
備中岡田 伊東播摩守
常陸志筑 本堂式部少輔
丹波山家 谷大膳亮
信濃須坂 堀長門守
美濃苗木 遠山美濃守
常陸牛久 山口周防守
上野七日市 前田丹後守
名代嫡子孫八郎
大和原本 平野遠江守
摂津麻田 青木民部少輔
播磨三草 丹波長門守
下野吹上 有馬兵庫頭
越後三根山 牧野伊勢守
○二十四日
讃岐多度津 京極下総守
越後椎谷 堀右京亮
大和芝村 織田摂津守
大和柳本 織田大和守
越後清崎 松平日向守
上野吉井 吉井侍従
常陸宍戸 松平主税頭
出雲母里 松平主計頭
安房館山 稲葉備後守
上総桜井 滝脇丹後守
下総高岡 井上宮内少輔
陸奥七戸 南部雄麿
越前敦賀 酒井左京亮
名代重臣
美濃高富 本荘宮内少輔
越後黒川 柳沢刑部大輔
播磨山崎 本多肥前守
豊前千束 小笠原近江守
播磨安志 小笠原信濃守
河内丹南 高木主水正
名代嫡子肥前守
三河西大平 大岡越前守
大和櫛羅 永井信濃守
常陸下妻 井上伊予守
播磨林田 建部内匠頭
越前三日市 柳沢信濃守
下総小見川 内田主殿頭
下総生実 森川内膳正
播磨小野 一柳対馬守
常陸麻生 新荘下野守
大和柳生 柳生但馬守
名代重臣
伊予小松 一柳因幡守
名代重臣
備中浅尾 蒔田相模守
上総小久保 田沼玄蕃頭
信濃松代 真田信濃守
陸奥弘前 津軽少将
名代重臣
版籍奉還被仰付候面々
○二十四日
阿波徳島 蜂須賀中納言
筑後柳河 立花少将
武蔵河越 松井周防守
下野宇都宮 戸田土佐守
美作鶴田 松平右近将監
名代重臣
越後村上 内藤豊前守
石見津和野 亀井中将
上総花房 西尾隠岐守
松前館 松前勝千代
名代重臣
肥前大村 大村丹後守
上総大田喜 大河内豊前守
伊勢長島 増山備中守
河内狭山 北条相模守
筑後三池 立花出雲守
版籍奉還願出候面々
○二十五日
遠江堀江 大沢右京大夫
下野高徳 戸田備後守
内、分末家ニテ添御沙汰書無之面々
肥前小城 鍋島紀伊守
周防岩国 吉川駿河守
伊勢久居 藤堂佐渡守
肥前蓮池 鍋島甲斐守
長門豊浦 毛利左京亮
周防徳山 毛利淡路守
備中鴨方 池田満次郎
肥前鹿島 鍋島備中守
長門清未 毛利讃岐守
伊予新谷 加藤出雲守
知藩事ヘ御達書写
一、従来支配地総高幷現米惣高、取調可申出事
但、免ハ五ケ年平均ヲ以テ取調可申出事
一、諸産物及諸税数、取調可申出事
一、公廨一ケ年之費用、取調可申出事
一、職制、職員、取調可申出事
但、重立候職員ハ、人撰可相窺事
一、藩士、兵卒員数、取調可申出事
但、従前之禄幷扶持米遣居候高、取調可申出事
一、社寺領其外、従前禄扶持米等遣居候人員並高、取調可申出事
一、現石十分之一ヲ以テ、家禄可被相定候事
但、石高外諸雑税モ可準之事
一、支配地総絵図可差出事
一、支配地人口、戸数、取調可申出事
一、一門以下平士ニ至ル迄、総テ士族ト可称事
但、家禄御定之振合ニ基キ、給禄適宜改革可致候、且一門之輩ハ、追テ位階ヲ可賜事
一、家禄相応、家令、家扶、家従以下、召仕候人員可窺出事
但、従前之知家事ハ、家令ト唱ヘ可申事
右之件々被仰出候ニ付テハ、諸務変革、来ル十月中取調可申出事
六月
別紙之通被仰出候事
地所蔵米ノ諸家ヘ御達書写
各通 一橋大納言
田安中納言
山内薫
池田但馬守
津軽式部大輔
戸田淡路守
足利左馬頭
一、従来支配地総高云々
一、諸産物及云々
一、藩士兵卒員数云々
一、社寺領其外云々
一、支配地総絵図云々
一、支配地人口云々
一、一門以下平士云々
右之件々被仰出候ニ付而ハ、来十月中取調可申出事
蔵米ノ諸家ヘ御達書写
各通 浅野近江守
池田摂津守
池田丹波守
池田相模守
上杉駿河守
松浦左近将監
細川若狭守
細川豊前守
佐竹壱岐守
一、藩士兵卒云々
一、社寺従前云々
一、一門以下平士云々
右之件々被仰出候ニ付テハ、来十月中取調可申出事