東京城日誌 己巳第四
明治二年二月
二月八日御達書写
各通 伊達亀三郎
上杉式部
南部彦太郎
酒井徳之助
阿部基之介
内藤三郎
丹羽五郎左衛門
久世順吉
南部雄麿
堀貞次郎
松平豊熊
田村鎮丸
牧野鋭橘
酒井信三郎
本多兵庫助
板倉教之助
織田寿重丸
内藤英之助
諸藩公議人之儀ハ、昨年来追々被仰出候通ニ有之候間、其藩公儀人一員、執政参政中ヨリ相撰、来ル五月中ヲ限リ、東京公議所ヘ差出可申、此段相達候事
同日御布告書写
府県公議人之儀ハ、兼テ御布告之通、追テ徴集之御沙汰可有之候得共、即今建言致度儀有之節ハ、書面ヲ以公議所ヘ差出可申事
同日御沙汰書写八通
学校
世上新聞紙出板、御許相成候間、学校ニ於テ都テ取締可致候事
○
学校
諸学校ヨリ、公議人一名宛相撰、公議所ヘ可差出旨御沙汰候事
○
公議所開議、来ル二月十五日ト治定、以来毎月二七ノ日会議有之候間、各官ヨリ四等官以上一人ツヽ、出席可致旨御沙汰候事
○
大関美作守
南部彦太郎旧領、別紙郷村高帳之通、今般其藩ヘ取締被仰付候、兵乱之余、人民疾苦之情状被聞食、深ク被為痛聖念候ニ付、兼テ民政相心得居候家来精撰致、彼地出張申付
朝廷之御政体ニ基キ、人民撫育ニ厚ク心ヲ用ヒ、御一新之御趣意、洽ク貫徹致候様可取計旨御沙汰候事
但地所之儀ハ、南部彦太郎ヘ懸合、早々受取可申事
○
同人
先般総督府ヨリ、棚倉表民政取締可致様、相達置候処、今度被免候間、棚倉城之儀ハ、阿部基之介ヘ引渡可申旨御沙汰候事
○
津軽越中守
先般南部彦太郎旧領、取締被仰付置候処今度被免候事
但先達テ御渡相成候郷村高帳返上可致事
○
南部彦太郎
其方旧領之内、別紙村書之通、先般津軽越中守ヘ取締被仰付置候処、今度被免、右代リ大関美作守ヘ取締被仰付候間、地所早々引渡可申候、改テ御沙汰候事
○
大河内右京亮
其方領知之内、上州群馬郡中里村栗崎村高七百石余之地所、旧幕府ヨリ村替申付置候処、如元領知ニ被仰付候事
但地所之儀ハ、若鼻県ヨリ受取可申事
○
岩鼻県
大河内右京亮領知之内、上州群馬郡中里村栗崎村高七百石余之地所、旧幕府ヨリ村替申付置候処、今般如元右京亮領知ニ被仰付候間、地所引渡可申事
同九日御沙汰書写三通
軍務官
若松表降伏人取扱之儀、其官ヘ御委任被仰付候間、諸事取締可致様御沙汰候事
但降伏人扶助手当地之儀ハ、蝦夷其外相応ノ土地取調、可伺出事
○
前田宰相中将
八丈島流人 宇喜多孫九郎
同忠平
同半平
同次郎吉
同小平太
同半六
同半七
御一新ニ付、右之者共御赦被仰付候ニ付テハ、旧来由緒モ有之趣ニ付、其藩ヘ引取扶助可致旨御沙汰候事
○
徳川新三位中将
上野祖先之墓所、被渡下候事
但請取方之儀者、東京府ヘ可伺出事
同日御布告書写
上野国 岩鼻県
常陸国 若森県
武蔵国 品川県
同 大宮県
上総国 宮谷県
今般右之新県御取建ニ相成候間、為心得相達候事
同十二日御布告書写
諸藩ニ於テ、私ノ相対ヲ以テ、外国人ヨリ貨幣借リ入候儀不相成候、以来借リ入度向ハ願出之上、外国官ヨリ差図可致候間、此旨可相心得事
同日御沙汰書写三通
堀貞次郎
今度帰邑願之趣、無拠情実被聞食届、暫時御暇ヲ賜候条、帰邑之上ハ、御一新以来追々被仰出候御趣意ヲ奉体認、藩政改革旧弊一洗、厚ク治教致、藩屏之職ヲ不辱様、尽力可致旨御沙汰候事
但兼テ被仰出候通、四月中旬ヲ限リ、東京ヘ参着可致事
○
真田信濃守
会津降伏人、其藩ヘ御預ケ被仰付置候処今度被免候間、軍務官ヘ引渡可申事
○
南部彦太郎
其藩儀、先般出格至仁之思食ヲ以、寛大之御所置被仰付候処、其後旧領農民共、旧主愛慕之情実ヲ申立、段々会計官等ヘ訴状差出シ、且多人数徒党致シ、末家南部遠江守ヘ歎訴及ヒ候趣、甚タ以如何之事ニ候、右ハ兼テ被仰出候詔書之御趣意ヲ奉体認、昨年以来之始末ヲ反省致候得ハ、此上朝廷ヘ奉対、御配慮不奉掛様如何様ニモ鎮静方可有之事ニ候、其辺厚相心得、此末不都合之次第無之様、屹度取締致シ、早々城地引渡候様可致旨御沙汰候事
二月十三日御布告書写
公議所御開之儀、来ル十五日御定日之所、御都合ニヨリ、御延日相成候、代日之儀ハ追テ御沙汰可有之事
同日御沙汰書写五通
各通 徳川新中納言
毛利宰相中将
藤堂和泉守
松平大和守
堀田相模守
阿部主計頭
稲葉美濃守
一橋大納言
田安中納言
津軽越中守
大河内右京亮
秋元但馬守
有馬遠江守
松平能登守
堀貞次郎
増山対馬守
堀田出羽守
津軽式部少輔
内田主殿頭
上野山内有之候其藩墳墓、被引渡候間、取締可致事
但受取方之儀ハ、明十四日東京府ヘ可伺出事
○
各通 前田宰相中将
徳川三位中将
徳川新中納言
黒田宰相
浅野少将
鍋島少将
徳川少将
池田中将
松平越前守
池田侍従
伊達亀三郎
蜂須賀中納言
佐竹中将
久松少将
酒井雅楽頭
榊原式部大輔
上杉式部
南部彦太郎
松平下総守
津山中将
奥平美作守
大河内右京亮
松平周防守
松平主殿頭
内藤備後守
鳥居丹波守
安部摂津守
牧野伊勢守
上野山内ニ有之候其藩宿坊某院、今般被引渡候条、取締可致事
但受取方之儀ハ、東京府ヘ可伺出、尤右寺院不用ニ候ハヽ、早々上地可致事
○
凌雲院
昨年上野戦争後、混雑之砌、諸藩之墓所有之候寺院並宿坊等御払ニ相成候処、今般右代金下賜候間、其方ヨリ諸寺ヘ急速至当配分可致事
但配分之上、書付ヲ以可届事
○
井伊中将
今般宗良親王御宮御創営ニ付、其方ニ於テ御由緒モ被為有、出願之趣奇特之事ニ候、依之御手伝被仰付候事
但営繕司ニ打合可申事
○
会計官
鎌倉大塔宮御社、遠江国竜潭寺宗良親王御社御創営掛リ、其官営繕司ヘ被仰付候事
但宗良親王御社御創営、井伊中将ヘ御手伝被仰付候間、打合セ可申事
同十四日御布告書写
金札取扱之儀ニ付、是迄度々御布令有之候処、租税其外諸上納、金百両ニ付札百二十両之立相場ヲ以、上納被仰付、下方取引ハ時之相場ヲ以通用可致旨、昨年十二月中被仰出候ニ付テハ、先般御布令ニ相背キ、入獄等申付候者有之候ハヽ向来心得違無之様、屹度教戒ヲ相加ヘ、今度ハ差免シ可申、尤此以後御趣意ヲ不憚、姦曲ヲ相働候者於有之ハ、厳重御咎被仰付候旨、被仰出候事
同十五日御布告書写
下野国 日光県
今般右新県御取建相成候間、為心得相達候事
二月