太政官日誌・明治2年48号

太政官日誌 明治二年 第四十八号〈自五月八日 至十二日〉
東京城第十一
○五月八日〈己卯〉
【会計官管轄ノ事】
御沙汰書写
会計官
掌総判、租税、用度、秩禄、貢献、金銀、貨幣、倉庫、検地、営繕、鉱山等
管一局六司
造幣局
監督司
租税司
出納司
用度司
営繕司
鉱山司
条令
一、国家ノ財政治マラサル時ハ、知事、副知事其責ニ任ス可シ
一、節倹ハ財政ノ要義ニシテ、殊更方今ノ急務ナリ、叡旨ニ出ルコトト雖モ、忌諱ヲ憚ラス諫争シ、力メテ省約ニ従フヘシ
一、諸官ノ経費並諸官員ノ月給、俸米、旅費等都テ常額ヲ照シテ支給スヘシ
一、例外ノ出費ニ至テハ、軍用ノ急務等、既ニ決議ヲ経ル者ト雖モ、覆聞シテ止ムルコトアルヘシ
一、各官府県共、例外金穀ニ係ル事件ハ、会計官承諾ノ上ナラテハ、施行スルコトヲ許サス
一、各官並府県ヘ不時ニ属吏ヲ遣シ、以テ出納ヲ監視シ、簿書ヲ点検セシムヘシ
一、官中要務、刑法官監察司ノ監察ヲ受ヘシ
一、租税章程ヲ創立シ、或ハ変更シ、或ハ例外一時増減スルコトアル時ハ、上裁ヲ経ルニ非サレハ、施行スルコトヲ得ス
一、府県ヨリ達出ル租税ノ休免石高等、宜ク年ノ豊凶ヲ察シ、免除ノ事ヲ決スルヲ得ヘシ
一、検地ノ事、上裁ヲ経ルニ非ラサレハ、施行スヘカラス
一、凡事ノ定則ナキ者ハ、法案ヲ作リ、上裁ヲ経ルニ非ラサレハ、規則トスル事ヲ得ス
一、毎歳時日ヲ定メ、国債ノ多寡及前年ノ歳入歳費ヲ総計シ、計簿ヲ鏤鋟シ公示スヘシ
一、新旧貨幣並紙幣ノ増減等モ、亦銀行計簿ノ内ニ載ヘシ
右奉勅確定ス、屹度可相守者也
五月
輔相実美
【徴士、雇士任免時刻ノ事】
御達書写
徴士、雇士職務等被仰付候節ハ、巳ノ刻呼出之、被免候節ハ、午之刻名代呼出之事
但、職務進退並転職共、礼服着用之儀可相達事
右之通規則相定メ候間、於諸官府県モ、同様可相心得事
○九日〈庚辰〉
【言路洞開ニ付御布告】
御布告書写
先般待詔局ヲ被開、草莽卑賤之者ニ至ル迄、御為筋之儀献言致シ候様、御布令相成候ニ付、追追存付申出候、就テハ重大之事件ハ、上裁ヲ経、夫々御取捨相成候エ共、各官府県限リニテ、可否決定可相成程之事件申出候族ハ、待詔局ニ於テ一応尋問之上、為証拠局印ヲ押シ、其官及府県ヘ向、当人差越書面為差出候間、其事之可否得失ニヨリ取捨可致ハ勿論、仮令即今採用難相成儀申出候共、懇切ニ説諭ヲ加エ、言路洞開、下情壅蔽無之様トノ御旨趣、貫徹致シ候様可取計旨被仰出候事
御沙汰書写
待詔局
別紙之通、各官府県ヘ御達相成候ニ付、此旨相心得取計可致様御沙汰候事〈別紙前ニ出ス〉

【松平越中御預ノ事】
徳川三位中将
松平越中、横浜着船之上、当分其藩ヘ御預被仰付候事
【徳川三位中将御留守御警衛仰付ラル】

同人
別段御用有之ニ付、供奉被免候事

同人
御留守為警衛、上京被仰付候事
但、追々御下問之儀モ有之ニ付、為名代重臣東京ヘ可差置事

【硫黄島灯台改造ノ事】
長崎府
今度灯明台建築ニ付、御雇相成候英人フラントン、其府硫黄嶋灯明台改造之為メ、当月下旬横浜出帆、新造之灯致持参候ニ付テハ、同所飽ノ浦製造所ニ於テ製造之儀、申立之通被差免候間、其府着船之上ハ、鉄工、石工等都而差支無之様可取計候、此旨申達候事

【下ノ関灯台建築ノ事】
毛利宰相中将
今般灯明台建築ニ付、御雇相成候英人フラントン儀、当月下旬下ノ関ヘ罷越シ、浮標二ツ浅海ヘ浮ヘ、別ニ一ツヲ同所役人ヘ預置、二ツ之標ヲ引揚検査致シ候節、預置候標ヲ浮ヘ候趣申立候間、其旨早々下ノ関詰役人ヘ篤ト為相心得、着船之上差支無之様可取計候、此旨為心得兼而相達候事
【金札通用ニ付諸藩ヘ御達ノ事】
御達書写
金札通用之儀ニ付テハ、過日御布令之通、遐邑僻陬ニ至ル迄、金札正金同様通用可致ハ勿論ニ候エ共、都下ヲ初遠地取引致シ候商賈等、万一心得違之者有之候テハ、不被為得止当人ハ勿論、主宰之者迄厳重可被及御沙汰候間、諸藩ニ於テモ領内末々迄、厚御趣意ヲ奉戴シ、右様心得違之者無之様、懇切ニ説諭致シ、天下之御為、深ク心ヲ用ヒ可申候、為念此旨相達候事
○十日〈辛巳〉
【浜屋敷石室ノ事】
御沙汰書写
東京府
浜屋敷ニ有之候石室、外国官ヘ引渡可申候事

【中井主水、上士席ノ事】
中井主水
其方儀、徳川籏下之者ニテ、従来京師ニ住居致シ、御用相勤候ニ付テハ、今般本領安堵被仰付候処、地方之儀ハ御都合モ被為在候ニ付、旧禄石高現米ニテ被為宛行候事

同人
高五百俵
本禄如旧下賜候事

同人
上士席ニ被加候事

【病院管轄替ノ事】
東京府
病院之儀、是迄其府管轄之処、自今学校管轄ニ被仰付候間、此段相達候事

学校
病院之儀、是迄東京府管轄之処、自今学校可為管轄旨御沙汰候事

【摂津県、豊崎県ト改称ノ事】
民部官
摂津県、今般改而豊崎県ト称シ候様被仰出候間、此旨相達候事
御達書写
摂津県、今般改而豊崎県ト称シ候様被仰出候間、為心得相達候事
○十二日〈癸未〉
【英公使館員前橋出張ノ事】
御達書写
英国公使館第一等書記アタムス並通弁官ウルキンソン等、今十二日発足、上州前橋辺迄罷越候間、為心得相達候事

【民部官会議ト諸県知事】
民部官
諸県知事、判事在東京之分、当官会議五、十ノ日出席可致旨被仰出置候処、其官ニ於テ三、八ノ日会議致シ候ニ付テハ、今後当官ヘ出席ニ不及、尤臨時被召出候儀モ可有之候間、此旨可相達事
【版籍奉還上表ニ付御沙汰ノ事】
御沙汰書写
各通
水野大炊頭
相良遠江守
岩城亀五郎
細川玄蕃頭
堀田摂津守
山崎志摩守
三宅備後守
大田原飛騨守
松平日向守
内田主殿頭
今度土地人民版籍奉還可致之旨、及建言候条云々〈以下、第十号池田中将ヘ御沙汰書同文〉